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最近、AIの話題を追っていると「○○エンジニアリング」という言葉が次から次へと出てきませんか?
プロンプトエンジニアリングにコンテキストエンジニアリング、その名前に慣れてきたと思ったら今度はハーネスだのループだの、新しい言葉が後から後から増えていきます
どれも似た響きなので、どれが何を指すのか、お互いの違いがつかみにくいところです
名前は聞いたことがあるけれど、頭の中で整理がつかないまま、という方も多いのではないでしょうか
実はこの4つ、バラバラの流行り言葉ではなく1本の進化の流れの上に並んでいます
先にプロンプトがあって、そこへコンテキスト、さらにハーネス、ループと、新しい言葉ほど後から積み重なってきた、という順番なんです
この記事は、その流れを1枚の地図として見渡す総論(ハブ)で、各テーマの詳しい回への入り口にもなっています
言葉を1つずつ暗記する必要はありません
大事なのは4つの位置関係で、それさえ頭に入れば、次に新しい用語が出てきても「あの流れのどこか」と見当がつくようになります
ジャベ雄まず全体像をつかんでから、気になる回を読むのがおすすめです
結論から言うと、AIへの指示のしかたは プロンプト → コンテキスト → ハーネス → ループ という順番で発展してきました
ざっくり言えば、設計する対象が内側から外側へ、だんだん広がっていく流れです
料理でたとえると分かりやすいです
プロンプトは注文する言葉、コンテキストは渡す食材、ハーネスは厨房の設備、ループはお店を回す段取りにあたります
後ろにいくほど、料理そのものより「おいしく作れる環境づくり」に寄っていく、という広がり方です
最初は「どう言葉をかけるか」だけを考えていたのが、だんだん「どんな環境を与えて、どう自走させるか」まで広がってきた、という話です
大きな方向性としては、単発のチャットから、自分で動く自律エージェントへの移り変わりと言えます
ここで気をつけたいのは、新しいものが古いものを消したわけではないという点です
後から出た考え方は、前の考え方を土台にして、その外側を足していくイメージで捉えると迷いません
細かい解説に入る前に、まず全体を1枚の表で見比べてみましょう
「いつ登場したか」「何を設計するのか」「どれくらい定着しているか」を並べると、4つの関係が一気に見えてきます
| 種類 | 登場した時期 | 何を設計するか | 定着度 | 代表例 |
|---|---|---|---|---|
| プロンプトエンジニアリング | 2020年前後(GPT-3のころ)に広まる | AIに渡す1回分の指示文そのもの | 確立 | 役割を与える / 手順を区切って頼む |
| コンテキストエンジニアリング | 2025年6月ごろ | AIに見せる情報の全体(指示+資料+履歴+ツールの結果) | 急速に定着 | RAG / メモリ / システムプロンプト設計 |
| ハーネスエンジニアリング | 2025〜2026年 | モデルを取り囲む道具・状態・検証・権限の土台 | 語は実在・分野化は新興 | Claude Agent SDK / Claude Code |
| ループエンジニアリング | 2026年6月ごろ | AIが繰り返し動く仕組み(引き金・停止条件・検証) | 立ち上がったばかり | 自律エージェントの回し方の設計 |
表を縦に見ると、設計する対象が「指示文」から「情報全体」「土台」「動き続ける仕組み」へと外へ広がっているのが分かります
ここからは、1つずつ噛み砕いていきます
定着度の欄は私の主観ではなく、界隈での使われ方の温度感です
コンテキストはもう定番語ですが、ループは登場して日が浅いので、この先どこまで根づくかはまだ見えていません
プロンプトエンジニアリングは、AIに渡す指示文(プロンプト)を工夫して、ほしい答えを引き出す技術です
4つの中でいちばん歴史があり、土台になっている考え方です
広まったのは、GPT-3が登場した2020年前後だと言われています
その後、ChatGPTが2022年末に公開されて一般にも一気に浸透しました(誰が最初に名付けたかは諸説あるので、ここでは踏み込みません)
やることは、たとえば次のようなものです
具体的には、「悪い例」と「良い例」を1つずつ添えるだけでも、出力の質はぐっと安定します
短い指示でも、望む形を実例で見せてあげると、AIは狙いを外しにくくなります
こうした積み重ねが、今もプロンプトエンジニアリングの中心にあります
「もう凝ったプロンプトは要らない」という声も一部で聞きますが、なくてもAIがカバーしてくれる可能性が上がっただけで、実際には指示の作り込みは今でも効きます
プロンプトは古びたのではなく、次に出てくるコンテキストの一部として組み込まれたと捉えるのが正確です
コンテキストエンジニアリングは、AIに見せる情報の全体を組み立てる設計です
1回の指示文だけでなく、AIが受け取る材料まるごとを対象にします
ここでいう「情報の全体」とは、AIが一度に読み込める作業スペース(コンテキストウィンドウ)に何を積むか、という話です
具体的には次のような中身を組み合わせます
ここが今回いちばん押さえたいポイントです
コンテキストエンジニアリングはプロンプトエンジニアリングを置き換えたのではなく、その中に含んで広げたものです
プロンプト(指示文)は、コンテキスト全体の中の一部分にあたります
つまりプロンプトはコンテキストの部分集合で、指示の良し悪しだけでなく「そもそも何を見せているか」まで含めて設計しよう、という発想の広がりなんです
AIがうまく答えられないとき、原因は指示文よりも渡している情報の不足やノイズだった、というのはよくある話です
「うまく指示できない」ではなく「見せる材料が足りていない」と考え直すと、打ち手が変わってきます
たとえば「この議事録を要約して」と頼むとき、議事録の本文を渡さなければ、どれだけ指示を磨いても良い答えは返ってきません
逆に、関連する過去資料や用語の定義まで一緒に渡せば、指示はシンプルなままでも精度が上がります
これがコンテキストを設計するということです
ただし、情報は多ければ多いほど良いわけではありません
関係ない資料まで詰め込むと、かえってAIが迷って精度が落ちることもあります
だからコンテキストエンジニアリングは「何を足すか」だけでなく「何を削るか」の設計でもあるんです
この言葉が広まったのは、わりと最近です
ShopifyのCEOであるTobi Lütke(トビ・リュトケ)氏が2025年6月ごろに使い始めたのが起点とされ、AI研究者のAndrej Karpathy(アンドレイ・カルパシー)氏が賛同して一気に広まりました
その後、Anthropic(Claudeの開発元)も2025年9月に体系立てた解説を出し、コンテキストエンジニアリングをプロンプトエンジニアリングの自然な進化だと位置づけています
くわしくはAnthropic公式の解説も参考になります
個人的な話をすると、私がClaude Codeを使うときも、この感覚はよく実感します
作業フォルダに CLAUDE.md という前提メモを置いておくと、毎回こまかく指示しなくても、狙った方向で動いてくれる確率がぐっと上がるんです



指示を盛るより、前提を先に渡しておくほうが効くと感じています
用語の意味だけをサッと確認したいときは、AI用語集もあわせてどうぞ
ハーネスエンジニアリングは、モデル本体を除いた、AIを取り囲むソフトウェアの土台を設計するという考え方です
「ハーネス(harness)」はもともと、馬具や安全帯のように本体を支える装具を指す言葉です
ここでいう土台には、次のようなものが含まれます
この関係を、界隈ではよく Agent = Model + Harness と表します
つまりエージェント(自分で作業するAI)は、モデルという頭脳と、それを取り囲む土台(ハーネス)を合わせたものだ、という整理です
身近な例でいうと、Claude Code Desktop がこの土台込みの仕組みにあたります
裏でファイルを読んだり、コマンド(プログラムへの命令)を走らせたり、失敗したらやり直したり、という一連の動きは、モデル単体ではなく、その周りの土台がこなしています
Anthropicも、Claude Codeと同じ仕組みを Claude Agent SDK として公開し、これを「汎用のエージェントハーネス」と呼んでいます
ハーネスという語そのものは、こうした公式ドキュメントでも使われている実在の言葉です
おもしろいのは、同じモデルでも土台の出来しだいで成績が変わる点です
AIの実力を測るベンチマーク(SWE-bench系)でも、モデルはそのままで土台を差し替えただけでスコアが動いた、という報告があります
ただし作り込むほど強いとは限らず、100行ほどの最小構成が高機能な土台を上回った例もあります
土台の設計で何が効くのかは、Anthropicのハーネス解説がくわしいです
ただし「ハーネスエンジニアリング」を独立した専門分野として呼ぶ言い方は、まだ新しめのフレーミングです
「2024=プロンプト、2025=コンテキスト、2026=ハーネス」といった世代分けも見かけますが、これは公式に決まった分類ではなく、語り口の一種くらいに受け止めておくのが安全です
エージェントの土台をもう少し具体的に知りたい方は、Claude Code拡張機構入門で、ツールや設定の仕組みを噛み砕いています
ループエンジニアリングは、AIが繰り返し動き続ける仕組みそのものを設計するという、4つの中でいちばん新しい考え方です
土台になっているのは「エージェントループ」という概念です
これは考える → 道具を使う → 結果を見る → また動くを、終了条件にたどり着くまで繰り返す動きのことで、ざっくり言えば「道具を持ったAIをぐるぐる回し続ける」イメージです
この繰り返しの考え方自体は前からあります
ループエンジニアリングは、その回し方を設計対象として名前を付けたもので、次のようなところを組み立てます
身近な例だと、プログラムのバグ直しがイメージしやすいです
コードを直す → テストを走らせる → 失敗を見てまた直す、をテストが通るまで自動で繰り返す、という流れをAI自身に回させるのがループの設計です
Anthropicの開発者を含む書き手がよく口にするのが「エージェントにプロンプトを出すのをやめて、エージェントにプロンプトを出すループのほうを設計しよう」という言い回しです
あなたが毎回指示を出すのではなく、指示を出し続ける仕組みを作るという発想の転換なんです
ループエンジニアリングは2026年6月ごろに立ち上がったばかりで、長く定着するかはまだ分かりません
この呼び方は、Addy Osmani氏の記事をきっかけに広まりました
ただし本人が名付け親を名乗っているわけではなく、同じ時期に複数の書き手が同じ話をしていたので、命名の帰属はまだはっきりしていません
ハーネスとの関係も、まだ整理しきれていません
「ループはハーネスの一部」とする見方が多い一方で、「ループはハーネスに調整される別のもの」とする見方もあり、この2つは重なり合う領域があると捉えておくのが実態に近いです
さらに進むと、1つのループだけでなく、複数のループを組み合わせる話にもなります
調べる担当・書く担当・チェックする担当のように、役割ごとのループを重ねて大きな仕事をこなす設計も議論され始めています



新しい言葉なので、断定より「そういう流れが来ている」くらいで追うのが安全です
最後に、4つの違いを一言でまとめておきます
キーワードは「設計する対象が、内から外へ広がっていく」という一点です
いいえ、古くなったわけではありません
指示文の作り込みは今も効きますし、コンテキストという広い設計の一部として組み込まれているだけです
置き換えではなく、土台として残っています
コンテキストはAIに見せる情報の設計、ハーネスはAIを取り囲む道具や仕組みの設計です
「何を読ませるか」と「どんな環境で動かすか」の違い、と考えると分けやすいです
ただし履歴やメモリをどう出し入れするかを管理するのはハーネス側の仕事なので、この2つも完全な別物ではなく地続きの関係です
ハーネスはAIを動かすための土台、ループはその土台の上でAIを繰り返し動かす仕組みです
土台と、その上での動かし方、という関係で、重なり合う部分もあります
まずはプロンプトとコンテキストの2つで十分です
ハーネスやループは、自分で動くAIエージェントを組みたくなってきた段階で触れれば間に合います
Claude関連の用語をもう少し押さえたい方は、Claude用語集(初心者向け)もあわせてどうぞ
この地図を頭に入れておくと、新しい言葉が出てきても「4つのどこの話か」で位置づけられるようになります
この総論(ハブ)から、4つそれぞれを掘り下げた個別記事へ進めます
気になったテーマから読んでみてください
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