AI検索に載りたいなら llms.txt を置きましょう、という記事をあちこちで見かけます ただ、自分のサイトに置く前に調べてみたら、llms.txt は意味ないと言われるだけの根拠 がひととおりそろっていました
Googleは「どのAIシステムも使っていない」という立場で、38,000サイト分の実測でも97%が一度もリクエストされていません しかも、AIは置いていないサイトを探しに来ることすらしていませんでした
なのでAI検索に引用されたくて置くなら、いまのところ効果の裏づけはありません ただ、Claude Code のようなコーディングエージェント向けだと話が変わってきます
目次
llms.txt とは AIに読ませるサイトの案内図
サイトのルートに置く llms.txt は、AIに「うちはこういう構成なので、詳しくはここを読んで」と伝えるマークダウンファイルです 提案は Jeremy Howard 氏、初版の公開は2024年9月3日
狙いはシンプルで、広告やJavaScriptだらけのHTMLをAIに読ませる代わりに、要点だけを整理した場所を1か所用意しておこう、という発想 置き場所は /llms.txt が基本で、/docs/llms.txt のようなサブパスでも構いません
名前が似ているので robots.txt と混同しがちですが、役割はぜんぜん別もの
ファイル 伝えること robots.txt クロールしていい / だめ(通行の可否) llms.txt 読むならここを読んでほしい(案内)
robots.txt が門番だとすると、llms.txt は受付に置いてある館内マップみたいなものです 置いたからといって入館者が増えるわけではない、というのがこのあと出てくる話につながります
中身はマークダウンで書く
仕様で必須とされているのは プロジェクト名のH1が1つだけ で、あとは全部おまけです 概要をブロック引用で添えて、H2で区切ったリンク集を並べる、というのが標準的な形になります
# サイト名
> このサイトが何なのかを1〜2行で
## 主要な記事
- [記事タイトル](https://example.com/foo/): どんな内容か
- [記事タイトル](https://example.com/bar/): どんな内容か
形式がマークダウンなのは、人が読んでも分かるし機械もパースできるからです 仕様そのものは止まっているわけではなく、2026年8月10日に v2 が出ています
ここまでは、なかなか良さそうな仕組みに見えるんです
Googleは「どのAIも使っていない」と言っている
GoogleのJohn Mueller氏は、llms.txt を「現時点では完全に憶測の域」 と表現しています 理由はファイル自体は何年も前からあるのにどのAIシステムも使っていないから、という指摘
Google の見解はここがはっきりしていて、llms.txt も著者情報版の llms-author.txt も使っていません そのうえで氏が挙げていた判断の目安が、ちょっと現実的でおもしろかったです
お客さんを連れてきてくれるAIプラットフォームが「このファイルが要る」と言い出したら、そのとき作ればいい
要するに、需要が発生してから作っても遅くないという話なんです 出典はSearch Engine Journal の記事(2026年6月2日) で、氏の発言をまとめたものになります
ちなみに Mueller 氏が代わりに評価していたのは WebMCP のほうでした すでにサイトへ来ているAIエージェントに、どうやって正しく作業させるかという発想の規格で、Chromeが対応しています
97%は一度もリクエストされていない
Ahrefs が2026年6月15日に公開した調査で、llms.txt を置いた約38,000サイトのうち97%が、1か月間まったく取得されていなかった という結果が出ています 今回いちばん効いた材料がこれでした
97% of those files received zero traffic in May 2026.
Ahrefs「We Analyzed 137K Sites: 97% of llms.txt Files Never Get Read」
出典は Ahrefs の調査記事 数字だけ見ると強烈ですが、どうやって測ったのかも明記されているので、そこも見ておきます
調査の方法と規模
対象は、Ahrefs のアクセス解析を入れていて2026年5月にトラフィックがあった 137,210ドメイン 各ドメインのルートを叩いて llms.txt が HTTP 200 で返るかを確認し、中身がちゃんとマークダウンのものだけを有効と数えています
調査ドメイン:137,210
有効な llms.txt を持っていた:38,360(28%)
2026年5月にリクエスト0件:そのうち97%
何かしら取得されたのは:約1,100ドメイン
HTMLやソフト404を弾いている点が大事なところで、「置いたつもりで実は壊れていた」ぶんは最初から除かれています ちゃんと動いている llms.txt に限っても97%が無風だった、ということなんです
取りに来ていたのは主にSEOツール
残り3%に届いたリクエストも、96%はボットで人間は4% その内訳がこちら
リクエスト元 割合 SEO監査ツール 21.7% 不明 14.9% 一般クローラー 13.1% 技術プロファイリングツール 11.6% AIエージェント・インフラ 10.5% GEO / AEOツール 5.8% AI学習クローラー 5.3% llms.txt スキャナー 3.6% サービス / ソーシャルボット 2.9% リサーチボット 2.7% AIアシスタント 2.5% AI検索の取得ボット 1.1%
いちばん多いのが SEO監査ツールの21.7% で、いちばん少ない部類がAI検索の取得ボットの1.1% です 「AI検索に引用されたいから置く」という動機に対して、その用途で読みに来ているのは全体の1%ちょっと、という話になります
置いた人を見に来ているのが、AIではなくSEOツールだった この構図は皮肉というより、新しい規格が出たときにだいたい起きることなのかもしれません
読まれていても価値があるとは限らない
ここで「SEOツールが2割も読んでるなら、置く意味はあるんじゃないか」と思いたくなりませんか? 私も一度そう考えたんですが、読まれた先で何が起きるかを追うと話が続きませんでした
SEO監査ツールが取得したデータの行き先は、そのツールのデータベース そこを見るのは競合分析をしている他人で、こちらの順位にも流入にも被リンクにも触れません
そもそもこれらのツールは、llms.txt があろうとなかろうとサイト全体をクロール済み 1ファイル増えたところで、向こうから見えるものは変わらないんです
21.7%という数字は取得された分の内訳であって、価値の指標ではありません 分母は「97%がそもそも0件」なので、残り3%の中の割合を効果として読むのは二重の誤読
内訳をもう一度見ると「GEO / AEOツール 5.8%」という行が見つかるでしょう この手のサイト診断ツールは、llms.txt が無いと減点してくることがあるんです
置けば診断スコアは上がるでしょう でも上がるのはスコアだけで、読者もAIも増えません
スコアは順位でも流入でもない、途中の目安
そこを目的にして置くと、手段と目的が入れ替わってしまうんです
AIは置いていないサイトを探しに来ない
この調査でいちばん効くのは、割合の話よりこっちだと思います Ahrefs は、llms.txt が存在しないサイトに対して、AIボットからのリクエストは1件も来ていなかった と報告しています
AIクローラーは「このサイトに llms.txt はあるかな」と確認しに来ていない、ということです 置いてあるサイトでたまたま踏むことはあっても、無いサイトを探索する動きは観測されていません
ここが分かると、「置いていないから損をしている」という不安はいったん消せます 探しに来ていない相手に向けて、置いていないことを気に病んでも仕方がないので
置いてないと不利、というわけではないんです そもそも見に来ていないので
いちばん取りに来ていたのは Claude Code だった
ここから話が少しひっくり返ります 名前が分かるボットに絞って見ると、AIボットからのリクエストで最多だったのは GPTBot の4.51% で、そのすぐ後ろに Claude-Code が付けていました
Claude-Code は Anthropic のコーディングエージェント そしてこの Claude-Code が、AI検索の取得ボット・AIアシスタント・AI学習クローラーのどれよりも多く llms.txt を取りに来ていた と報告されています
llms.txt は読まれていないというより、読む相手が想定と違った ということなんです
置く目的 現状 AI検索に引用されたい ×(該当する取得は1.1%) AIの学習に使ってほしい △(5.3%、学習側はそもそも本文を読む) コーディングエージェントに参照させたい ○(実際に取りに来ている)
Claude Code に何かを調べさせたとき、そのサイトの構造をつかむために llms.txt を踏む そういう使われ方だったりすると、確かに噛み合います
だから、ドキュメントサイトやAPIリファレンスを持っている人には、いまでも置く理由があります 逆に個人ブログでこの用途を期待するのは、やっぱり少し無理があるかなと思います
Claude Code 自体が読む設定ファイルの話は、別の記事にまとめてあります
あわせて読みたい
Claude Code 設定ファイル早見表 役割と場所
Claude Codeを触っていると次々に登場する設定ファイル(CLAUDE.md・settings.json・AGENT.md・SKILL.mdなど)を、保存場所と役割で一覧化した早見表記事です、微調整目線で抑えたい初心者〜中級者向けにまとめました
大手のドキュメントサイトは置いている
実際どうなっているのか気になったので、有名どころのURLを直接叩いて試してみたところ、はっきり分かれました 2026年8月22日時点の結果がこちら
サイト /llms.txt Cloudflare Developers あり(約16KB) Stripe Docs あり(約90KB) Anthropic(Claude のドキュメント) あり(約60KB) OpenAI(platform.openai.com) なし(404) このブログ(javeo.jp) あり(約15KB)
開発者向けドキュメントを持っている会社は、だいたい設置済み ただ、置いている理由は前の節とつながっていて、AI検索対策というよりコーディングエージェントに読ませるためだと考えると筋が通ります
Anthropic のような提供側が整備を進める一方で、Ahrefs の集計だとAI検索の取得は1.1%どまり 作る側と読む側で温度が違うのが、この規格のいまの位置なんでしょう
AI検索まわりの用語がぼんやりしている方は、AI用語集 にクローラーや学習まわりの言葉をまとめてあります
WordPressで置いてみて分かったこと
結論から言うと、プラグインを入れて5分で終わりとはいきませんでした 初期設定のままだと、案内図として使えないものができあがるんです
使ったのは Website LLMs.txt という無料プラグイン この記事を書きながら、実際に javeo.jp へ入れて確かめました
入れただけでは生成されない
有効化しただけで /llms.txt を叩くと、返ってくるのはまだ404 ただ、返ってきたのはWordPressのエラーページではなく、プラグイン自身の「まだ生成されていません」という一行でした
管理画面の「ファイルステータス」に Generate now というボタンがあって、これを押して初めてファイルができます 入れて満足して終わっている人、いるんじゃないでしょうか
初期設定のままだと古い記事が落ちる
ここが一番の落とし穴 「タイプごとの最大投稿数」の初期値が 100 なので、それを超えるぶんは古い順に切り捨てられます
このブログは公開記事が128本あるので、27本が黙って落ちていました 古い順に切られるので、長く読まれてきた記事から先に消えます
落ちていた中には、いまでも検索から人が来る記事がいくつも混ざっていたんです 案内図を作るつもりで、案内したい場所を外していたわけです
200に上げて作り直したら、128本すべて入りました
説明文を入れるとかえって読めなくなる
「投稿の抜粋 / メタディスクリプションを含める」をONにすると、各リンクに説明が付きます ところがその説明が、全件そろって23字で切れました
- [Excelのセルの書式設定 表示形式とユーザー定義の書式コード](https://javeo.jp/excel-format-cells/): Excelのセルの書式設定で主役になるの...
設定には「最大文字数 250」という欄があるのに、そちらは効いていません 切り捨てられた残りは Detailed Content という別セクションに回るんですが、そこにはタイトルもURLも書かれていませんでした
投稿128件に対して説明は77件しかないので、並び順で対応づけることもできません AIが読んだら、別の記事の説明として受け取るほうが自然なんじゃないでしょうか
なのでOFFに戻しました タイトルとURLだけの素直なリストになって、ファイルも44KBから14KB まで落ちています
項目 初期設定のまま 調整後 収録された公開記事 101 / 128本 128 / 128本 リンクの説明 全件23字で切れ なし(タイトルのみ) ファイルサイズ 44KB 14KB
ひとつ安心した点もあって、下書きや非公開の記事は入っていませんでした この記事自体を下書きのまま試したので、そこは実物で確かめられました
入れて終わりにすると、上から100本だけの案内図ができます
置いた初日にClaudeBotが来た
生成した日のアクセスログを見たら、もう取りに来られていました テスト用に自分で叩いたぶんを除くと、初日の /llms.txt へのアクセスは4件
時刻 User-Agent 05:34 ClaudeBot/1.0 (claudebot@anthropic.com)05:51 YandexBot/3.0 06:07 YandexBot/3.0 06:55 YandexBot/3.0
ここで引っかかったのがどうやって見つけたのか という点 サイトマップにも robots.txt にも llms.txt は入れていません
ページのソースを見たら、プラグインが全ページの head にこれを出していました
<link rel="llms-sitemap" href="https://javeo.jp/llms.txt"/>
AIが探しに来たわけではなく、こちらがHTMLで置き場所を教えていた ということ Ahrefs が「AIは存在しない llms.txt を探しに来ない」と報告していたのとも、これなら矛盾しません
1日ぶんで4件だけの話なので、これで何かが言えるわけではありません いまも1か月ぶんのログを取り続けているところ
結局 llms.txt は置くべきか
私の結論は、個人ブログなら急いで置かなくていい です AI検索に引用されたいという動機に対しては、効果を支える材料がいまのところ見当たりません
判断が分かれるのは、サイトの性格のほうだったりします
置く価値がありそうな人 開発者向けドキュメント・APIリファレンス・ツールの使い方ページを持っていて、Claude Code などから参照される可能性がある
急がなくていい人 検索流入がメインの個人ブログ・メディアで、置く目的が「AI検索に載りたい」だけ
でも、置くこと自体に害はありません 私もこの記事を書きながら入れてみましたが、狙いは効果を期待したからではなく、これから誰が取りに来るのかを自分のログで確かめるためです
もっと言うと、この手の規格は数か月で状況が変わります Mueller 氏の「必要だと言われたら作ればいい」という目安は、いまのところ現実的な立ち位置なんじゃないでしょうか
llms.txt はAIに読ませるサイトの案内図、2024年9月の提案で仕様は今も更新されている
Google は使っておらず、現状を「憶測の域」と表現している
実測では約38,000サイトの97%が1か月間まったく取得されていない
取りに来ていた最多はSEO監査ツール、AI検索の取得は1.1%どまり
AIボットは llms.txt が無いサイトを探しに来ていない
例外はコーディングエージェントで、Claude Code が実際に取りに来ている
WordPressのプラグインで置く場合、初期設定のままだと古い記事が切り捨てられる
置くなら、AI検索でなく Claude Code のために置く、が現時点の答えです
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